2011年09月30日

海外情報(2011年9月)

 前月では、BRICsの中国・ロシア市場の概要(Glass International誌より)を掲載しましたが、今回は、インド・ブラジルの市場もしく企業に関するニュースから始めます。
 FEVE news June, Julyからピックアップしましたが、一貫した情報ではありませんので、数値が矛盾する場合があります。訳者が取捨しましたことをご了解願います。


1.インド : 大人口・資源を抱えて成長の大波に乗るか?

(1)市場について
 インドのガラスびん製造業界の現在の市場規模は、10億ドル。年率12%の成長を遂げている。これらは、国のGDP・国民所得の上昇と、消費者の健康・衛生への関心の向上に支えられている。市場アナリストは、このトレンドは継続、場合によっては更にアップすると見込んでいる。

(2)Indian Hindusthan National Glass LTD(HNG)社について
 製びん企業は、大中1,000社ほどあるが、傑出しているのはIndian Hindusthan National Glass LTD(HNG)社(訳者注:市場シェア推定60%)である。当社は大きな拡張計画を示している。現在の製造能力は、15百万本/日(45億本/年)。今後2~3年間に、新工場建設・既存工場の拡張・新技術の導入に700億ルピー(約1,200億円)の投資を計画している。
 また、当社はドイツベースのAgenda Glass ,AG,を、5千万ユーロで買収する計画を公表した。この計画は、HNG社をグローバル企業に成長させるための第1歩となるだろうと述べている。
(Feve news June-Source Glassonline.com, rticles.ecinimictimes.indiatimes.com)
(Feve news July-Source Fnbnews.com, Thehindubisinessline.com)
(訳者注:インド市場へ既存のグローバル製びん企業・O-I、Saint-Gobainなどの進出のニュースは無い。インドの人口は12.2億人、中国の13.5億人に次ぎ、第2位-国連統計)

 

2.ブラジル : O-I社 関係会社の持株を100%へ

 O-I社は、ブラジルの関係会社Owens-Illinois do Brazil Industria e Cosmercio SAの残余株21%を取得し(対価140百万ドル)、持株比率は100%となった。この会社はSao PauloとRio de Janeiroに併せて2工場を持つ。O-I社は、ブラジル市場に期待している。
(Feve news June-rticles.econonmictimes.indiatimes.com)


3. 欧州・米国

(1)欧州 2010年生産実績について
 FEVE加盟国の2010年生産実績については、海外情報2011-7月に掲載した。 それに関連して、FEVE President Niall Wall氏は次のように述べている。
 「経済不況の中で、良く3.5%の増加を達成した。素材間の競争に耐えて、容器市場の中でKey Playerの地位を維持し得た。しかし、なお努力の余地がある。消費者はガラスが環境・衛生・中身の品質保持などの面で優れた容器であることを知っている。しかし、天然・健康食品である牛乳・ヨーグルト・幼児食・ミネラルウォーターのガラスびん入りは、スーパーの棚に置かれていないために消費者は選択できない。ガラスびん業界は、製造工程の改善・コスト削減・環境問題への対処などに努め、ブランドに対し他素材に競争可能な価格で、提供できる努力の余地がある。」
(Feve news July-Source:FEVE Press Release/Glass Global)

(2)Saint-Gobain社
① Verallia(ガラスびん部門)のIPOを取り止め
 (訳者注:IPO-Initial Public Offering 新期株式公開、本件については海外情報 2010-11月で報じた。) 
 Saint-Gobain社の説明。「提案は、欧州(特にフランス)北米の投資企業・個人から歓迎された。しかし、市場環境はこのIPOを成功させる状況にはないと判断した。」Saint-Gobain社はこのIPOで、10億ユーロの入金を目論んでいた様子。
 同社はまた次のように述べている。「Verallia部門の見通しは極めて良い。成長と、優れた戦略を展開していくだろう。」
( Feve news July-Source:Packagingnews.co.uk)

 ② Verallia アルジェリア進出を公表
 (訳者注:アルジェリアは、アフリカ北部 地中海に面した国。旧フランスの植民地。東はチュニジア・リビア・西はモロッコに接する。人口3380万人。国土はアフリカ2番目の広さ。大統領は国民の選挙で選ばれる体制にあるが、政情は安定していない。天然ガス・石油など天然資源に恵まれているが、対外債務は大きい。最近、国有企業の売却が行われている。フランスとの関係が深い。)
 上記国有企業の売却施策の中で、当社がOran(地中海に面する大都市)所在のAlver社を、約7百万ユーロで100%子会社にしたことを公表した。Saint-Gobain社CEOは、「これは、Veralliaの地中海南岸(北アフリカ)へ進出の最初の布石である。この地域は、ガラスびんにとって有望な市場となろう」と述べた。
(Feve news July-Source:Rttnews.com)



(3)拡大するArdaph社
 当社は、2010年9月、17億ユーロで、Impress社(グローバル金属容器企業)を買収したが、更に、イタリアの金属容器企業Fi.Par社を1億5千万ユーロで買収した。
 世界の29カ国で、80以上の工場を稼動させることになる。
 拡大に要した資金や今後の買収のための資金を調達するために、米国株式市場に上場する計画を進めているとのニュースがある。また、2億ユーロの社債を発行した。
(Feve news June'11-Packagingnews.co.uk)
 当社の営業・広報担当役員談。「当社の成長は他社を併合する戦略によっている。そのためこの10年で売上げは10倍になった。中でもImpress社の併合により、金属缶分野に進出できた。この併合は、商品の多様化・得意先ベースの拡大・相乗効果が期待できる。なお課題は、PETなどの他素材からの挑戦に対抗するために、如何にして消費者のガラスびん選好を、ブランドオーナーの容器選択に結びつけるかにある。」
(Feve news June-Source:Beveragedaily.com/Foodproductiondaily.com)



(4)O-I社
① 太陽光発電の工場始動
 当社は、フランスBeziersに太陽光発電のモデル工場を設立した。4棟の倉庫にも、ソーラーパネルを装置した。設置・操作は、専門業者が当たっている。O-I社は、カレット使用率も高め、この工場を省エネ・排気ガス削減のモデル工場とする意向である。
 O-I Europeの担当役員は、「会社の方針は、2017年までに、CO2排出の65%・エネルギー使用量の60%削減・リサイクルカレットの使用割合を60%まで引上げることである。倉庫にソーラーパネルを設置することなどを含め、モデル工場の経験は5大陸へ拡げられて行くだろう」と述べている。
( Feve news June-Source:Ecofriendnews.com)

② 2011年第2四半期減益予想
 輸送費などコストインフレの影響で、当初の営業利益は前年並みの予想を3~6%減益に改めた。オーストラリア・ニュージーランド市場の不振も影響した。両国では現地通貨の為替相場高がワインの輸出に悪影響し、また金利上昇が所得に食い込み、ビールなどの消費が低迷した。
 しかし、グローバル出荷量は5~10%増加が期待される。2010年の企業併合が寄与している。結果は間もなく公表される。
(Feve news June-Source:ap-foodtechnology.com)


(5)Vetropack Group 創業100周年を祝う
(訳者注:当社は、スイス本拠でオーストリア・スロバキア・チェコに工場を持ち、その周辺国に事業を展開している、独立・健全経営の会社)
 2011年に創業100周年を迎えた。創業者Henri Cornazはビジョンを持っていた。彼は、珪砂と共に会社をスタートさせた。しかし砂上の楼閣ではなかった。今も一族は4世代に亘りこのグループの経営を続けている。
(Feve news June-Source:Vetropack.ch)


(6)Beatson Clark社(イギリス) 設備を更新
 売上高30百万ポンド(約52億円)の会社が、16百万ポンドを投資し、生産とリサイクル機能のグレードアップを図る。当社の主販売先はHeinz、Baxter社のほか、中小食品業界企業である。更にすき間市場をターゲットにして拡大を図る。
(Feve news June-Source:Foodmanufacture.com)