2012年07月17日

海外情報(2012年7月分)

1.FEVE(欧州ガラスびん協会)ホームページで以下の統計を公表

FEVE(The European Container Glass Federation)加盟国生産状況 (2011年)

国別 2008年
(千トン)
2009年
(千トン)
09/08
(±%)
2010年
(千トン)
10/09
(±%)
2011年
(千トン)
11/10
(±%)
ドイツ 4,142 3,779 -8.7 3,787 +0.2 4,065 +7.3
フランス 3,579 3,154 -11.9 3,154 -0.1 3,310 +5.0
イタリア 3,674 3,332 -9.3 3,507 +5.2 3,569 +1.8
イギリス 2,431 2,116 -13.0 2,316 +9.5 2,311 -0.3
スペイン 2,146 1,928 -10.2 1,980 +2.7 2,067 +4.4
ポルトガル 1,252 1,288 +2.9 1,313 +1.3 1,352 +3.0
ポーランド 873 909 +4.1 986 +5.7 991 +0.5
トルコ 768 613 -20.2 779 +29.2 823 +5.5
北・中欧諸国 2,074 1,898 -8.5 1,950 +1.7 2,041 +4.7
南・東欧諸国 1,206 1,065 -11.7 1,069 +0.9 1,187 +11.0
合計 22,145 20,082 -9.3 20,841 +3.5 21,716 +4.2
参考:日本 1,387 1,330 -4.1 1,337 +0.5 1,342 +0.4

 Feveは、6月22日コメントを付して上記2012年生産実績を、Press Releaseした。業界生産量は2009年の世界経済危機以来、順調に回復している。需要先の多様化・軽量技術の目覚しい進歩を考慮すれば、本数は500億本を超えると推定され、これらが欧州約160工場から、域内・域外(輸出)へ出荷されたと推定される。
 Feve Presidentは「他素材との競合、不安定な経済環境の中で、この成果を達成した意義は大きい。」と述べた。
 ガラスびんは、スピリッツ・ワイン・ビールの主要需要先のほか、食品でも地域ブランド・有機食品などへの販促で、シェアを広げた。

(訳者注:Feveは、2011年12月に、初めて2011年の前半(1~6月)生産実績(前年比4.7%)を公表した。欧州経済危機が言われている中で、敢えて異例の公表を行った意味を推測した。それと今回の公表から計算すると、2011年後半(7~12月)の成長率は、3.7%となる。また、Press Releaseの中で「輸出」が出ていること、ドイツの増加率が極めて高く、イギリスがマイナス(前年の反動もある)になっていることから、ドイツがユーロ安の恩恵を最も受けていることが頷ける。(輸出先は、ロシアなど旧ソ連圏の国、中近東と推測される)

2.Saint Gobain Oberland社 2011年は好業績

 (当社は、Saint Gobain Groupに属する企業で、ドイツ本拠。最近はロシア・ウクライナへ進出している。ブランド名はVerallia)
 5月に2011年業績が公表されたが、好調であった。CEOは次のように説明した。「売上高は512百万ユーロ(前年比4.7%増)で、増加は主にロシア・ウクライナ工場の出荷増加が寄与した。また、社を上げての品質改善努力が、得意先からの信頼維持に貢献した。収益面では、エネルギー・原料価格の上昇があったが、製品構成の改善・合理化投資で対応できた。」(収益に関する具体的な数値の説明はこのニュースには無かった)
 また、今後の見通しについて「引き続き、社内の合理化と需要先の信頼維持に勤め、業績を維持していく。特に、省エネルギーが、業績面からも環境面からも最重要な課題になるだろう。」と語った。
(FEVE News June'12-Source: Saint Gobain Oberland AG/Verallia)

3.Verallia社(Saint Gobaingグループのガラスびん部門)ビールびんネット販売

 the Craft Brewers Conference & Brew Expo America Show(地ビール大会)が、San Diegoで開催された。そこでVerallia社は、地ビール会社向けにネット販売するサイトを立ち上げることを発表した。このサイトを通じて、地ビール会社は大手製びん会社から直接、トラック単位ではなく、パレット単位で、ビールびんを購入できる。発注後、数日以内に、国内主要4地域にある倉庫から納入される。担当副社長は、「地ビール会社の経営の効率化に貢献できるだろう。」と語っている。

4.インドガラスびん協会:The All India Glass Manufacturers' Federation(AIGMF)
 ガラスびんのLCAを再検討開始

 協会は、ガラスびんのLCAを再検討し、ガラスびんの需要拡大に寄与する研究を開始した。研究は協会が発注元となり、PE International AG, Germanyの子会社 PE Sustainability Indiaによって行われる。研究は、無毒性・環境性など多方面でガラスびんが他素材容器に比し、いかに優れているかを証明するであろう。データは、インドのガラスびん生産の72%を占める28窯等から収集される。研究にはGPI(北米)、Feve(欧州)の研究が参考とされるだろう。また、インドの代表的ガラスびん会社、Hindusthan National Glass, Piramal Glass, AGI Glaspac, Vitrum Glassは、研究成果を取り入れて、更に軽量化などを指向している。具体的にはNNPBなどの新技術採用により、2015年までに20%の軽量化を目標としている。
 AIGMF Presidentは次のように語った。「一人当たりの年間ガラスびんの生産量は、欧州の64kg*に対し、インドは1.4kgと極めて低い。環境や健康に対する国民の意識は高くなってきているので、食品などの企業のガラスびんへの関心は強くなるだろう。」
 ガラスびん業界は今後も年率8~10%の上昇が見込まれている。
(FEVE News June'12-Source: Phamabiz.com)

(*訳者注:Feveの統計では、欧州一人当たりの生産量は40kg、日本は10kg。また、上記のインド一人当たりの生産量1.4kgに人口12億人を乗じると、約170万トンとなる)

5.Anadolu Cam社 需要促進のためのサイト(platform)設定

 (当社は、Sesecam groupのガラスびん部門の会社。groupの2011年業績の概要は前月に報じた。会長談として「売上高は、前年比18%増の50億リラ(約2,250億円)。利益は53%増の741百万リラ(約333億円)と巨大であった。当グループはトルコ本拠。ガラスびんの他、板ガラス・ガラス繊維・化学薬品の事業分野を持つ。2011年のannual reportは、未だホームページに掲載されていないため、Anadolu Cam社の売上実績等は分からない)
 サイトの表題は"Bring Glass into Life"(暮らしにガラスびんを)で、ガラスびん入り商品の販売促進と、リサイクルへの関心喚起を目的としている。新商品や受賞商品の紹介なども行う。メッセージは"Glass Fan Family"(出演者は実際の人間)を通じて送られる。全てのソーシャルメディアからコンタクトできる。
(FEVE News June'12-Source: Anadolu Cam) 

6.Vidrala社 2012年 第1四半期好業績

 (当社は、スペイン製びん業界の中堅会社。従業員642人、年間売上高147百万ユーロ)
 当社の第1四半期は、営業利益15.8百万ユーロ(前年比21.8%増)、純利益10.1百万ユーロ(前年比16.6%増)と好業績を上げた。これは生産効率(特に低水準分野の)改善が貢献した。ガラスびんの需要は、全ての地域・分野で略伸張が見られた。
 しかし、今後については二つの面で困難が見通される。欧州レベルの経済見通しと、コストインフレの価格転嫁の困難さである。対応について十分な配慮が必要と考えられている。
(FEVE News June'12-Source:Alimarket.es)

7.イギリス政府 ガラスびんのリサイクル(ガラスびん→ガラスびんのリサイクル)率の倍増を望む

 先月の海外情報に、Feveが公表した2010年国別ガラスびんリサイクル率を掲載した。その中でイギリスは最近の3年間は、61・62・61%と表示されていた。今回の記事を読むと、カレットの他用途(道路舗装など)使用が含まれた結果の数字と推定される。業界(団体はBritish Glass)が、政府の要望に対処する方策を検討するとの内容である。各国それぞれの事情があるので内容は理解が困難である。何れにしても容器素材間の競争条件でリサイクル率が大きなウェートと占めると考えられている。
(FEVE News June'12-Source:Irvineherald.co.UK)