2006年12月01日

海外情報:FEVE(欧州ガラスびん連合)発行のFeve news最近号から

FEVEの現在のメンバーは、ガラスびん・ガラス食器のメーカー65社です。その所在国は、EUの中に17カ国とスイス・トルコを合わせ19カ国です。最近EUに加盟したチェコ・エストニア・ハンガリー・スロバキアが含まれている。  欧州のガラスびん業界活動は、拡大したEU諸国・ロシア・ウクライナ等の東欧諸国を含め、製品の輸出入・設備投資への出資等、経済交流が盛んで、エネルギーコストの高騰に苦しみながらも活発に推移している様子です。Feve news最近号から、関連する記事を拾って抄訳した。
 
1.2006年前半の業績ニュース
 
1 ドイツ ガラスびん需要好調
 

2006年1~7月、ガラスびん業界各社の活動により、出荷はかなりの上昇傾向を見た。特に、国内市場のワンウェイびんと輸出の増加が寄与した。各種飲料びんの出荷は、前年の49.6億本から50.8億本へ2.4%増加した。中でもワンウェイびんは、623百万本から649百万へ増加し、そのシェアは4.1%アップした。輸出の増加は更に大きく、15.9億本から17.5億本へ10%増を記録した。
(Feve news Sep.'06-Euwid Verpackung(D)11 Sep.'06)

 
2 イギリス Rexam社 ガラスびん部門-増収減益
 
当社は総合包装材企業で、ガラスびん欧州市場で第3位のシェアを持つ。

ガラス部門2006年前半の実績
売上 208百万ポンド(約470億円) 前年同期比: 106.7%
営業利益 14百万ポンド(約32億円) 前年同期比: 82.0%
営業利益率 6.7% 前年同期: 8.7%
 
ガラスびんの需要は順調であった。売上増には、量の増加・ミックスの改善・値上げが寄与したが、約11百万ポンドに上ったエネルギーコスト増を吸収することはできなかった。売上増はワイン・スピリッツびんの量の増加と、他の飲料の価格改善の結果であった。
(Feve news Sep.'06- www.rexam.com-Interim Report 2006)

 

3 スペイン Vidrala社-売上・純益増加
 
2006年前半、当社の売上は前期比8.8%増の158.76百万ユーロ(約240億円)を達成した。生産量は6%の増加であった。一方、利息・税前利益(EBIT)は4.55%減の21.3百万ユーロであったが、純利益は7.27%増の13.8百万ユーロ(約21億円)を達成した。当社では、生産と流通コストが10.57%増加した中での、この成果に満足している。
(Feve news Sep.'06-www.glassonlinecom.6 Sep.'06)
 
4 スイス Vetropack社 連結決算-増収減益
 
2006年前半、当社は前年同期比、10.3%増の283.7百万スイスフラン(約261億円)の売上を計上した。しかし、利息・税前利益(EBIT)は18.3%減の23.2百万スイスフラン、純利益は32.2%減の15.6百万スイスフラン(約14億円)に終わった。減益の理由は、エネルギー・原材料費の高騰、ウクライナでGostomel Glass Factoryを取得した臨時支出・St.Prex工場の修繕ロス等である。収益は後半の改善を見込んでいる。
(Feve news Sep.'06-www.vetropack.com-Latest news 1 Sep.'06)
 
 
2.増設・投資・需要長期トレンド等のニュース
 
1ドイツ Gerresheimer社の展開
 

当社は、薬品・化粧品業界向けの小びん・ガラス管等に特化して世界市場のリーダーを目指している。最近は特に中国市場を重点目標にしている。既に、Beijing Wheaton (現在のBeijing Gerresheimer)の45.7%、Shuangfeng Group(2工場)の60%の株式を取得している。
今回のニュースでは、Beijing Glass Instruments Factory社の70%株式を取得した。この会社は2工場で、実験室用ガラス器を製造している。従業員550名、2006年の売上見込は10百万ユーロ(約15億円)である。Gerresheimerでは、これらの工場内に更に投資し、従来米国・メキシコで生産していたライフサイエンス実験室用のガラス器の生産の移行を計画しているようである。
当社の本年の連結売上は約650百万ユーロ(約1000億円)に達し、2007年の株式上場を計画している。
(Feve news Sep.'06-Euwid Verpackung(D)11 Sep.'06)

 
2 トルコ 新工場始動
 
Sisecam社(総合ガラス会社、ガラスびん部門は子会社Anadolu Cam)は、国内Bursa市で新工場を始動した。当社によれば、1号窯は年産能力12万トン、投資額は45百万ドル(約52億円)である。当社の投資計画では2008年末までに370百万ドル(約430億円)を目論んでいる。Anadolu Cam社は、現在トルコ国内需要の88%、全欧州の4%を充たしている。
(Feve news Sep.'06- www.glassonlinecom.26 Sep.'06)
 
3 ロシア 新工場始動
 

●ロシアとトルコのジョイントベンチャーRusjam-Ufaは、ロシアのUfa市で新工場を始動した。投資額は80百万ドル(約93億円)で年産7億本を計画している。
トルコのAnadolu Cam社(前項参照)が、このプロジェクトの主投資者である。この工場の公式オープニングに出席したトルコの貿易大臣は、「投資者は、更に設備投資のため80百万ドルを用意している。その結果年産は12億本に達するだろう」と述べた。
(Feve news Sep.'06- Euwid Verpackung(D)25 Sep.'06)
●Saint-Gobain Oberland社(ドイツ所在のSaint-Gobainの子会社)は、北部コーカサスで、Kavminsteklo社に出資し、新窯を始動した。投資額は30百万ユーロ(約46億円)。最新技術を備えた設備は、この会社をロシアの製びん業界のリーダーに位置させるだろう。従業員1,000人、びん種は0.2~1.5L、グリーンを主に一部白びん。
(Feve news Jul.Aug..'06- Euwid Verpackung(D)14Aug.'06)

 
4ドイツ ガラス容器需要減、やや安定化のトレンド
 

最近、the Gesellschaft fur Verpackungsmarktforschung(包装材市場調査協会)より公表された数字(下表)によれば、ドイツ包装材市場は、2003年初より導入されたワンウェイびんに対する強制デポジット制度によりかなりの混乱を見たが、現在はやや安定を取り戻しつつある。
ガラスびんの消費量も、2005年は前年に比し僅かな下降で済んでいる。

包装素材別消費量
単位:千トン %
素材別 1995 2003 2004 2005
消費量 消費量 '03/'95 消費量 '04/'03 消費量 '05/'04
ガラス 3,954.3 3,218.0 81.4 3088.1 96.0 3,038.6 98.4
ブリキ 737.3 576.5 78.2 544.0 94.4 529.6 97.4
アルミ 91.5 101.1  110.5 94.7 93.7 93.6 98.8
プラスチック 1,569.9 2,226.7 141.8  2,403.5 107.9 2,451.3 102.0
5,199.8 6,543.1 125.8 6,704.8 102.5 6,687.5 99.7
液体カートン 198.5 250.8 126.3 245.4 97.8 244.4 99.6
合計 11,751.3 12,916.2 109.9 13,080.5 101.3 13,045.0 99.7

注:2005年は推定を含む。


(Feve news Jul.Aug..'06- Euwid Verpackung(D) 21Aug.'06)