2005年01月01日

欧米のガラスびん業界情報

  昨秋以降の欧米のガラスびん業界情報を、主要国別に主要製びん企業別にまとめた。
 
1. 英国
 
1 英国市場は需要順調―2008年までは成長を予測

英国の市場調査会社(Market & Business Development Ltd.)は、2004年~2008年の英国の容器市場について次ぎのように予測している。
ガラスびんはプラスチック容器との競合が激化し、食料、飲料、薬品の分野でシェアを奪われるだろう。しかし、ガラスびんは年率4%の成長が期待され、2008年の市場規模は、6億1490万ポンド(約1300億円)と予測している。
(Feve news Oct.'04: Euwid Verpackung (D) 25 Oct.'o4)

 

2 United Glass, フレキシブル生産体制

当社は英国におけるO-I社(米国)の系列会社である。Scotland Alloa工場でこの国初のフレキシブル生産を開始した。この設備は透明窯の改修に際して設置されたが、2つの製びん機で同時に4種のびんの生産が可能となった。これによってスピリッツの得意先の特殊なびんの注文をミニマムロットで応ずることができる。
また、同社の在庫を減らせると共に、得意先に対し、NPDびん(同社のNew Product Development Departmentが開発したびん)を、より早く、より少ないびん型コストで供給できる体制がとられた。
(Feve news Sep.'04: Glass(GB) Aug.'04)

 

3 Beatson Clark社、コンピューターデザイン

CADによるデザインと、その実用模型を制作する機能を導入した。また、お得意先に提案するコンセプトはBlue Marlin Packaging Design社に委託している。
このような体制から同社は、活況を呈している英国大人向けソフトドリンク市場から新しい受注を得ている。また、それらのびんが、その市場の成長を支えていると見ている。
(Feve news Sep.'04: Glass(GB)Jun.'04)

 

4 Rockware Glass のhalf pint(284ml)ビールびん

このびんは、プレミアムビール"Stella Artois"用で、深くエンボスされた高級イメージを持つ。このブランドを特に女性向けにプロモートするのに貢献している。
(Feve news Aug.'04: Glass(GB)Jun.'04)

 

5 United Glassの300mlビールびん

Scottish Courage ビール社では、その主力ラガービール「Kronenbourg1664」に新たに300mlびんを加えた。これでこのブランドは、200、300、330、600、750mlサイズが揃った。
ビール会社が、飲用機会、販売ルート(料飲店、家庭等)のすべての場面で消費者の満足を得るために、ガラスびんを利用している事例である。
(Feve news Aug.'04: Glass(GB)Jun.'04)

 

6 英国、リサイクル目標にチャレンジ

ガラスびん協会によれば、英国はリサイクリングに関し重大な時期に来ている。
EUの英国に対するガイドラインでは、2008年までに60%のリサイクル率を達成しなければならない。これは230万トンの消費量に対し140万トンのリサイクルを意味する。2003年の実績は、87.5万トンに過ぎないため、次ぎの5年間に毎年12万トンづつ増やしていかねばならない。
ガラスびん協会では、このために、回収システムの基本的インフラを改善する必要があると指摘している。    
(Feve news Sep.'04: Euwid Verpackung (D) 13 Sep.'04)

 

   
2.フランス
 
1 BSN Glasspack社、新窯始動

BSN Glasspack社は最近O-I社の系列に入ったが、そのVeauche(Loire)工場で、この程3号窯を始動した。この窯は年間10万トンの溶融能力と1億5千万本以上の製びん能力を持つ。
この窯は、基本的にリサイクルガラスを使用し、9年後に近代化のための休止期間を経て、16~18年の寿命を持つだろう。火入式の席上、グループの経営者は「この窯の建設は、3千万ユーロ(約42億円)5ヵ年計画の具体化の一つである。」と述べた。残りの2窯の改造と、製びん機ほかの付帯設備も近代化した。
この工場はワイン、スピリッツびんに専門化されており、従業員数は330名である。
(Feve news Oct.'04: Emballages Magazine/ Flash(F)- 27 Oct.'04)

 

2 Saint- Gobain Desjonqueres社、plasma技術で内面コート

当社は、主として化粧品びんを製造するSaint-Gobain社の系列会社である。施行会社との協力の下、2年間をかけて、plasma技術を採用して、化粧品と直接接触できる内面塗装技術を開発した。
香水びんの内面塗装は最近多く採用される傾向で、有名ブランドはラッカーを使用していた。しかし、この方法では内容物との障壁にプラスチックが必要であった。新技術はあらゆるカラーが可能で、ビジュアルであるため、大切な特質であるガラスの厚さを隠さない。透明と不透明の巧みな調和と言える。
(Feve news Sep.'04: Emballages Magazine/ Flash(F)- 24 Sep.'04)


また、当社はlaser技術を利用して、従来の技術では不可能なびん形状の表面に印刷する技術を工業化している。
(Feve news Sep.'04: Emballages Magazine/Supplement- Sep.'04)

 

3 Saint- Gobain Emballage 社、新スピリッツびん"Ovation"

当社は、スピリッツ市場のために"Ovation"と呼ぶ新スタンダードびんを発売した。
このびんはデザイナーCamby氏によってデザインされCognac(Charente)工場のextra white glassで製造され、350mlから1Lのサイズまで揃えられている。形状は底部が楕円で、肩部に進むに従って完全な円形となっている。
ラべリング、印刷、スリーブなどの加工を容易にする配慮からである。
(Feve news Nov.'04: Emballages Magazine/ Flash(F)- 19 Nov.'04)

 

4 ガラスびん値上げ

スチール、プラスチックに次いでガラスが値上げをアナウンスする番である。しかし、5%程度の穏健な幅となろう。
フランスガラス産業連合会は「我々の業界は原料、エネルギーの他にびん型までを含む全面的なコストアップに見舞われている。パレットのプラスチックシュリンクを含み物流費も5~10%を越えるコスト増加があった」とアナウンスしている。
2003年、ガラスびん産業は、10,000人の従業員で400万トンを生産し、20億ユーロの売上を上げている。
(Feve news Oct.'04: Emballages Magazine/ Flash(F)- 27 Oct.'04)