2004年04月01日

欧米のガラスびん事情

 
 
欧州のガラスびん事情表  

欧米市場ではガラスびんの需要が維持されている。その主な要因はアルコール飲料で、ガラスびんがメインの容器の位置を占め続けていることにある。ガラスびんの醸し出すムード、それが持つ高品質イメージが重視されているためと考えられる。ガラスびん需要の推移を報告しよう。

国別を見ると、フランス、スペイン、ポルトガル、イタリアの南欧諸国で著しく増加傾向が見られる。いずれもガラスびんの主な需要先はワインであり、国内消費、輸出の両面が増加している。この分野でも、他素材(boxとbag-in-box)は増加しているが、影響はガラスびんよりもむしろ樽(cask)と籠巻大壜(carboy)が受けたと報じられている。
イギリスでは、横這いで推移した後、2002年に大幅に増加している。プレミアムスピリッツとビール向けの増加によると報じられている。
いずれにしても、年間一人当たり需要量(2002年)EU15カ国平均は45.3kgで、我が国の13.3kgに比し3倍強の遥かに高い水準にある。

   
 
欧州各国生産実績 概況
イタリアは欧州経済4強の1つである。世界的に困難な政治・経済状況の中で、成長軌道を維持し、成長率は2002年1.4%、2003年も約1.4%と推定されている。
ガラスびん需要は1980年代から1990年代初めにかけて減少したが、その後は、ガラス びん業者と協会による一連の需要増進策に支えられて業況は改善した。2002年の生産量は333万トンで、前年とほぼ同水準であるが、業界筋ではこの環境の中では良く頑張ったと評価している。技術革新にも積極的で、殆どの生産はpress & blowで成形され、ここ数年の間に10~20%の軽量化がなされている。
イタリア・ガラスびん業界展望 用途別

Bottle(細口びん)、Jar(広口びん)、Flacon(小びん)に分けて、それぞれの構成比を説明している。(3区分の全体に占めるシェアの説明はない。)
Bottle区分の構成比は、次の通りである。
Wine & Sparkling wine 41%, Mineral water 18%, Beer 14%, Alcoholic spirits &vermouths 6%, Tomato products 6%, Olive oil 5.8%,Fruit juice 5.2%,Other 4%
Wine & Sparkling wine では国内消費・輸出共に伸びた。BoxやBag in boxも伸びたが、その影響はCask(樽)、Carboy(籠巻き大びん)が受けた。

Mineral waterは長く下降トレンドであったが、ホテル・レストラン・カフェなどで、特定回収びんの使用が増えて踏み止まっている。ビールは安定しているが、サンドウィッチ・ バーのような新業務店で、生ビールからの置換も見られる。Olive oilではガラスが主要容器であるが、輸出では缶が増えている。Fruit juiceでも紙,PETと競合しているが、消費者嗜好に合うリニューアルした形、色のびんが採用され成功している事例もある。Jar(広口びん)の構成比は、保存農産食品40%, 保存水産食品13%, ソース14%等である。Flacon(小びん)では、化粧品62%,医薬品30%である。

 
Bottle区分の構成比
Jar(広口びん)の構成比とflacon(小口びん)の構成比
イタリア・ガラスびん業界展望 主要製びん会社
Bormioli Rocco;  Vetro Abruzzo(英国Ardagh系列);  AVIR(米国O-I系列);
Saint-Gobain Vetrerie Italiano(フランスSaint-Gobainの系列);  Zignano
(GLASS誌 2003年12月号より引用)