2011年04月15日

ガラスびんの輸入と輸出(2010年)について

財務省貿易統計から、ガラスびん関連の2010年の輸入と輸出量を見た。
ガラスびん(空びん)の輸入・輸出は、何れもわが国ガラスびん生産量の0.5%内外に過ぎず、むしろ関心は容器としてガラスびんが使用される中身入り商品の輸入・輸出の動向にある。
特にガラスびんリサイクル業界では、輸入ガラスびん入り商品の消費後の空びんの処理に関する問題である。

空びんの輸入量と輸出量

国別  輸入 輸出
2009年 2010年 2009年 2010年
数量
(トン)
数量
(トン)
単価/
トン
(千円)
数量
(トン)
数量
(トン)
単価/
トン
(千円)
韓国 252 365 725 854 1,043 517
中国 5,638 5,785 191 940 1,252 149
台湾 1,442 1,693 127 292 311 624
香港       109 135 507
フィリピン       357 157 217
シンガポール       388 470 332
フランス 680 787 271 155 268 899
米国 52 80 3,226 1,113 1,196 457
その他 313 401 763 576 678 591
合計 8,643 9,408 226 4,788 5,560 436
国内比(%) ※ 0.6 0.7   0.4 0.4  
  • ※:輸入量または輸出量÷わが国ガラスびん生産量


ガラスびん業界が、これらの統計に関心を持ったのは、平成9年(1997年)業界出荷が減少する中で、輸入が急増。特に韓国、台湾の近隣国からのトン当たり単価の低い製品が増加したためであった。
(因みに1997年の輸入量は最高で23.7千トン)
最近のトン単価は、香水びん等の特殊なガラスびん製品、もしくは付属品つきも含まれる比率が高いので高価になっていると推定している。

トータルでは輸入・輸出共に増加し、ほぼ2008年の水準に戻した。
国別を見ると、輸入では、中国が更に量を増やし過半数を占め、金額でもトップになった。輸出では、数量は中国・米国・韓国が多く、金額では米国・韓国が上位を占める。

中身商品の輸入と輸出

(1)アルコール飲料製品の輸入と消費後のカレット発生量推定

製品名(千kl) 2007年 2008年 2009年 2010年
ワイン 119 119 128 134
スパークリングワイン 21 23 21 24
ウィスキー・ブランデー 18 16 16 17
その他蒸留酒 86 80 76 76
ビール 32 34 31 29
麦芽発泡酒 28 49 82 132
その他の製品 74 68 69 75
合計 378 389 423 487
カレット発生推定量(千トン) 232 225 230

@(%)

16.3 16.2 17.3
    注:@=カレット発生推定量÷わが国ガラス生産量(単位%)

  • 注1) 中身製品輸入量は、日刊経済通信社資料による。
    注2)カレット発生推定量は、ガラスびんリサイクル促進協議会による。2010年は調査中。



上表ではアルコール飲料の中、カレット発生に関連が深いと推定される商品を例示してきた。今回ビール・麦芽発泡酒を追加したのは2009年、2010年アルコール飲料計の増加主因が、麦芽発泡酒・韓国からの低価格新ジャンルとの説明が特に記されていたためである。

(2)アルコール飲料製品の輸出

 輸出量は総量で、輸入量の1割強と極めて少ない。その中で注目されているのは、容器にガラスびんが多用されている清酒・ウィスキー・焼酎である。

 
品種 単位 2007年 2008年 2009年2006年
清酒(日本酒) 輸出量 kl 11,335 12,151 11,949 13,770
前年比 % 110 107 98 115
焼酎 輸出量 kl   2,287 2,093 2,389
前年比 %   - 92 114
ウィスキー 輸出量 kl 914 1,038 1,191 1,384
前年比 % 100 114 115 116
  • 注1)データは日刊経済通信社による。


主要酒類の好調は海外での評価が高まっているため、生産者も意欲的と記されていた。