2006年04月01日

ガラスびんの輸入と輸出(2005年)について

財務省貿易統計から見たガラスびん関連の2005年の輸入と輸出量を見た。 ガラスびん(空びん)の輸入・輸出は、何れもわが国ガラスびん生産量の0.5-0.6%に過ぎず、むしろ、関心は容器としてのガラスびんが使用されている中身入り商品の輸入・輸出の動向にある。ガラスびん業界が腐心しているのは、輸入品の消費後の空びんの処理に関する問題である。
 
1.空きびんの輸入量と輸出量
単位:トン 
 
輸入量 輸出量
国別 2003年 2004年 2005年 国別 2003年 2004年 2005年
韓国 6,224 2,874 2,677 韓国 495 1,097 969
中国 2,531 2,481 2,820 中国 1,765 2,335 1,621
台湾 662 674 931 台湾 427 855 1,870
サウジアラビア 1,453 1,114 878 香港 960 799 128
フランス 958 954 1,021 フィリピン 997 1,054 778
- - - - 米国 586 942 1,104
その他 1,545 1,381 904 その他 687 1,050 939
13,373 9,478 9,231 5,917 8,132 7,409
@(%) 0.9 0.6 0.6 @(%) 0.4 0.5 0.5
 

トータルでは輸入・輸出共に前年比は減少。国別では輸出で台湾が増加、中国、香港が減少している。統計上の単価から見て、殆どが特殊なびん製品と推定される。
@=輸入量または輸出量÷わが国ガラスびん生産量

 
2.中身商品の輸入と輸出
 
1 中身商品(アルコール飲料)の輸入と消費後のカレット発生量推定
 
中身商品 単位 2003年 2004年 2005年
ワイン 千kl 123 126 118
スパークリングワイン 千kl 14 16 16
ウィスキー/ブランデー 千kl 24 21 19
その他蒸留酒 千kl 92 104 94
上記以外のアルコール飲料 千kl 154 144 142
合計 千kl 407 411 389
カレット発生推定量 千トン 262 279 262
16.9 17.9 17.5
 

@=カレット発生推定量÷わが国ガラスびん生産量
カレット 発生推定量はガラスびんリサイクル促進協議会による

 

カレット発生の主因となる輸入アルコール飲料、特にワイン、その他蒸留酒(多くを占めるのは韓国よりの焼酎)の輸入量と、それに伴うカレット発生推定量は久しぶりに減少した。
これを、酒税課税移出量統計(下表)から見ても、上記の傾向を反映して、輸入品が減少し、国産が伸びている。
2005年の国産ワインの増加は、果実酒範囲区分の変更によるものが多く含まれているとのことであるが、輸入の減少・国産の増加はガラスびん業界にとって有難い傾向である。

 

果実酒・焼酎(甲) 課税移出数量推移

 
    2003年 2004年 2005年
移出量 移出量 前年比 構成比 移出量 前年比 構成比
果実酒 国産 93 82 88.4 33.2 97 117.8 38.3
輸入品 158 165 104.1 66.8 156 94.6 61.7
251 247 98.3 100 253 102.3 100
焼酎・甲 国産 420 433 103.0 83.2 431 99.6 84.6
輸入品 81 87 107.8 16.8 79 90.3 15.4
501 520 103.8 100 510 98.0 100
 

2中身商品(日本酒と焼酎)の輸出量推移

 

アルコール飲料の輸出量は、総量で輸入量の1割程度と極めて少ない。その中で注目されるのは清酒(日本酒)と、最近の焼酎の増加傾向である。

 

清酒(日本酒)と焼酎の輸出量推移

 
    2003年 2004年 2005年 2005/2001
清酒(日本酒) 輸出量(kl) 8,270 8,796 9,537  
前年比(%) 110 106 108 135
酒類・その他のもの(焼酎) 輸出量(kl) 3,765 4,488 4,707  
前年比(%) 109 119 105 149
 

かねてから、清酒の輸出と現地生産の増加が報じられ、それは諸外国での健康志向の高まりから日本食ブームの広がりと関係が深いと考えられていた。
焼酎については最近、朝日新聞が「焼酎往来」の特集を組み、「輸出量5年で1.5倍」と報じた。酒類の貿易統計では焼酎の項目がないが「その他のもの」の大半を占めると見られるとの説明が付されていたので、上表でもそれに従った。この特集では、現地生産の増加、麹が縁の日本との交流の様子なども取り上げていた。

 
ガラスびん業界として、中身の輸出増加は勿論、このような現地での消費増加傾向が国内へUターンし、特に清酒消費が再上昇することへの期待が大きい。何と言っても清酒はガラスびん業界にとって、古くからの重要需要先であるからである。