2007年04月01日

ガラスびんの輸入と輸出(2006年)について

 
財務省貿易統計から見たガラスびん関連の2005年の輸入と輸出量を見た。 ガラスびん(空びん)の輸入・輸出は、何れもわが国ガラスびん生産量の0.5-0.6%に過ぎず、むしろ、関心は容器としてのガラスびんが使用される中身入り商品の輸入・輸出の動向にある。特にガラスびんリサイクル業界が関心を持っているのは、輸入品の消費後の空びんの処理に関する問題である。
 
1.空びんの輸入量と輸出量
 
輸入量 輸出量
国別 2005年 2006年/単価 国別 2005年 2006年/単価
単位 トン トン 千円 単位 トン トン 千円
韓国 2,677 2,184 136 韓国 969 1,007 493
中国 2,820 3,770 197 中国 1,621 1,366 151
台湾 931 914 143 台湾 1,870 1,020 276
サウジアラビア 878 203 56 香港 128 152 320
トルコ - 407 115 フィリピン 778 628 99
フランス 1,021 1,187 321 米国 1,104 1,069 388
その他 904 1,127 532 その他 939 1,123 506
9,231 9,792 237 7,409 6,365 326
@% 0.6 0.7   @% 0.5 0.4  
 

注:単価は、トン当たりFBO価格。参考までに算定してみたが、これらの単価から多くの場合、特殊なガラスびん製品もしくは付属品つきと推定される。
@=輸入量または輸出量÷わが国ガラスびん生産量

トータルでは輸入が増加、輸出が減少している。
国別を見ると、輸入では、中国が増加、韓国が減少。サウジアラビアが大幅減、変わってトルコが新顔で登場している。トルコには、Sisecam*という総合ガラス会社(板ガラス・ガラスびん・ガラス食器等生産)があり、国内で独占的シェアを持つほか、最近はロシア・ブルガリア・グルジアにも進出、多国籍企業となっている。
輸出では、韓国・香港が微増のほかは減少しており、新市場の開発は見られなかった。

*注:Sisecam社は、欧州以外からの唯一のFEVE(欧州ガラスびん連合)加盟国。
最近のFeve news(Jan/Feb'07)には、世界銀行Presidentが、同社のトルコ国内の工場視察のニュース
が掲載されていた。

 
 

2.中身商品の輸入と輸出

 
1  中身商品(アルコール飲料)の輸入と消費後のカレット発生量推定
 
中身商品 単位 2003年 2004年 2005年 2006年
ワイン 千kl 123 126 118 119
スパークリングワイン 千kl 14 16 16 20
ウイスキー/ブランデー 千kl 24 21 19 19
その他蒸留酒 千kl 92 104 94 90
上記以外のアルコール飲料 千kl 154 144 142 134
合計 千kl 407 411 389 382
カレット発生推定量 千トン 242 250 236 237
@ % 15.6 16.1 15.8 16.1

注:@=カレット発生推定量÷わが国ガラスびん生産量
カレット発生推定量はガラスびんリサイクル促進協議会による。平成17年の実態調査により、15年から推定値が訂正された。

カレット発生の主因となる輸入アルコール飲料(製品)は、2006年前年に引き続き減少したが、ガラスびん比率の高いワイン・スパークリングワインが増加したため、カレット発生推定量は僅かに増加した。その他蒸留酒(多くを占めるのは韓国よりの焼酎と推定される)の輸入量は引き続き減少傾向である。
 
2  中身商品(アルコール飲料)の輸出
 

輸出量は、総量で輸入量の1割程度と極めて少ない。その中で注目されているのは、清酒(日本酒)と焼酎の増加傾向である。

 
清酒(日本酒)と焼酎の輸出量推移
    2003年 2004年 2005年 2006年
清酒(日本酒) 輸出量 kl 8,270 8,796 9,537 10,269
前年比 % 110 106 108 108
酒類・その他のもの(焼酎) 輸出量 kl 3,765 4,488 4,707 5,149
前年比 % 109 119 105 109

清酒と焼酎の輸出の増加傾向は、上表で見る通り2006年も続行した。
米国では、日本酒の現地生産も増加しているが、輸入の伸びも大きい。健康志向の高まりから日本食ブームの広がりと関係が深いと考えられている。欧州・アジアについても同じ傾向が見られるとの報道を良く見かける。
ガラスびん業界として中身の輸出増加は勿論、このような現地での消費増加傾向が国内へUターンし、特に清酒消費再上昇への起爆剤となることへの期待が大きい。何と言っても清酒はガラスびん業界にとって、古くからの最重要需要先の一つであるからである。