2008年04月01日

ガラスびんの輸入と輸出(2007年)について

財務省貿易統計から見たガラスびん関連の2007年の輸入と輸出量を見た。 ガラスびん(空びん)の輸入・輸出は、何れもわが国ガラスびん生産量の0.5-0.4%に過ぎず、むしろ、関心は容器としてのガラスびんが使用される中身入り商品の輸入・輸出の動向にある。特にガラスびんリサイクル業界が関心を持っているのは、輸入品の消費後の空びんの処理に関する問題である。

空びんの輸入量と輸出量

輸入量 輸出量
国別 2006年 2007年/単価 国別 2006年 2007年/単価
単位 トン トン 千円 単位 トン トン 千円
韓国 2,184 2,227 139 韓国 1,007 1,100 528
中国 3,770 4,446 177 中国 1,366 1,232 147
台湾 914 626 205 台湾 1,020 529 765
サウジアラビア 203 0 - 香港 152 240 309
トルコ 407 1,222 124 フィリピン 628 610 156
フランス 1,187 1,226 341 米国 1,069 1,303 507
その他 1,127 866 744 その他 1,123 1,319 567
9,792 10,613 230 6,365 6,333 433
@% 0.7 0.7   @% 0.4 0.4  

注1:単価は、当初、近隣国からの安価の輸入を警戒して、トン当たりFBO価格を参考までに算定してきたが、その懸念はないと見られる。計上されている製品には、香水びん等の特殊なガラスびん製品、もしくは付属品つきも含まれると推定されるため、平均的な空びんのみの価格水準は把握できないと考えられる。
注2:@=輸入量または輸出量÷わが国ガラスびん生産量


トータルでは輸入が増加、輸出が横這いである。
国別を見ると、輸入では2006年から新顔のトルコが大幅に増加、中国も増加している。
サウジアラビアが消えた。
輸出では、米国が数量・金額共にトップ(単価が高い製品)になっている。台湾は減少している。新市場の開発は見られなかった。

中身商品の輸入と輸出

(1)アルコール飲料製品の輸入と消費後のカレット発生量推定

中身商品 単位 2004年 2005年 2006年 2007年
ワイン 千kl 126 118 119 119
スパークリングワイン 千kl 16 16 20 21
ウイスキー/ブランデー 千kl 21 19 19 18
その他蒸留酒 千kl 104 94 90 86
上記以外のアルコール飲料 千kl 144 142 134 134
合計 千kl 411 389 382 378
カレット発生推定量 千トン 250 236 237 232
@ % 16.1 15.8 16.1 16.3

注:@=カレット発生推定量÷わが国ガラスびん生産量%

カレット発生推定量は、ガラスびんリサイクル促進協議会による。平成17(2005)年の実態調査により平成15(2003)年から推定値が訂正された。

カレット発生の主因となる輸入アルコール飲料(製品)は、2006年より微減の傾向にあるが、ガラスびん比率の高いワイン・スパークリングワインが微増しているため、カレット発生推定量はほぼ横這いである。その他蒸留酒(多くを占めるのは韓国よりの焼酎と推定される)の輸入量は引き続き減少傾向である。

(2)アルコール飲料製品の輸出

輸出量は、総量で輸入量の1割程度と極めて少ない。その中で注目されているのは、清酒(日本酒)と焼酎の増加傾向である。

清酒(日本酒)と焼酎の輸出量推移
    2004年 2005年 2006年 2007年
清酒(日本酒) 輸出量 kl 8,796 9,537 10,269 11,335
前年比 % 106 108 108 110
酒類・その他のもの(焼酎) 輸出量 kl 4,488 4,707 5,149 5,285
前年比 % 119 105 109 103

清酒と焼酎の輸出の増加傾向は、上表で見る通り2007年も続行した。特に日本酒は、2001年に比し、1.6倍となっている。
米国における現地生産も増加している様子で、世界における健康志向の高まりから日本食ブームの広がりと関係が深いと考えられている。
ガラスびん業界として中身の輸出増加は勿論、このような現地での消費増加傾向が国内へUターンし、清酒消費再上昇への起爆剤となることが相まって、わが国ガラスびん業界のメインユーザーである清酒の復活を強く願っている。