2009年08月01日

ガラスびんの輸入と輸出(2008年について)

財務省貿易統計からガラスびん関連の2008年の輸入と輸出量を見た。ガラスびん(空びん)の輸入・輸出は、いずれもわが国ガラスびん生産量の0.7-0.4%に過ぎず、むしろ関心は、容器としてガラスびんが使用される中身入り商品の輸入・輸出の動向にある。特にガラスびんリサイクル業界では、輸入ガラスびん入り商品の消費後の空びんの処理に関する問題である。

空びんの輸入量と輸出量

輸入量 輸出量
国別 2007年 2008年/単価 国別 2007年 2008年/単価
  トン トン 千円/トン   トン トン 千円/トン
韓国 2,227 1,516 192 韓国 1,100 930 532
中国 4,446 4,625 203 中国 1,232 1,020 154
台湾 626 1,329 143 台湾 529 417 856
トルコ 1,222 1,391 334 トルコ 240 96 542
フランス 1,226 1,391 334 フランス 610 623 244
米国 76 3,046 米国 1,303 1,074 420
その他 866 589 703 その他 1,319 1,336 538
10,613 9,526 267 6,333 5,496 434
@% 0.7 0.7 @% 0.4 0.4  
  • 注1.)
    当初、これらの統計に関心を持ったのは、平成9年(1997年)業界出荷が 200万トンを割り減少トレンドが止まらなかった時期に輸入が急増、特に韓国・台湾の近隣国からのトン当たり単価の低い製品が増加したためであった。(因みに1997年の輸入量は最高で23.7千トン)現在のトン単価には、香水びん等の特殊なガラスびん製品もしくは付属品つきも含まれる比率が高いので高価になっていると推定。
  • 注2.)
  • @=輸入量または輸出量÷わが国ガラスびん生産量

トータルでは輸入、輸出共に減少した。

国別で見ると、輸入では或る時期にかなりの実績のあったサウジアラビア・トルコが消えた。 輸出では米国が数量・金額共にトップになっている。

中身商品の輸入と輸出

(1)中身商品(アルコール飲料製品)の輸入と消費後のカレット発生量推定

中身商品 単位 2005年 2006年 2007年 2008年
ワイン 千kl 118 119 119 119
スパークリングワイン 千kl 16 20 21 23
ウィスキー・ブランデー 千kl 19 19 18 16
その他蒸留酒 千kl 94 90 86 80
上記以外のアルコール飲料系 千kl 142 134 134 151
合計 千kl 389 382 378 389
カレット発生推定量 千トン 236 237 232 225
15.8 16.1 16.3 16.2
  • 注1.)
    @=カレット発生推定量÷わが国ガラス生産量
    データ.)
    中身商品(アルコール飲料製品)輸入量は日刊経済通信社による。カレット発生推定量はガラスびんリサイクル促進協議会による。

(2)中身商品(アルコール飲料製品)の輸出

輸出量は、総量で輸入量の1割強と極めて少ない。その中で注目されているのは、清酒(日本酒)と焼酎である。清酒(日本酒)と焼酎の輸出量推移は以下である。

品種 単位 2005年 2006年 2007年 2008年
清酒(日本酒) 輸出量 kl 9,537 10,269 11,335 12,151
前年比 % 108 108 110 107
焼酎 輸出量 kl 2,287
前年比 %
  • 注1.)
    データは日刊経済通信社による。焼酎は、貿易統計(酒類)では「その他のもの」に含まれていたが、2008年より独立の項目となった。従って前年比は出ていない。
  • 注2.)
    2009年に入って状況は厳しく、1-5月の累計輸出量の前年比は清酒92.5%、焼酎83.3%となっている。

清酒の輸出の増加傾向は、上表で見る通り2008年まで続行している。2001年に比し、1.7倍となっている。
米国における現地生産も増加している様子で、世界における健康志向の高まりから日本食ブームの広がりと関係が深いと考えられている。
世界経済が正常化すれば、輸出増加傾向は戻るものと期待している。また、この状況が国内へUターンし清酒回帰の起爆剤となり、わが国ガラスびん業界のメインユーザーである清酒への消費量に好影響を及ぼすことを強く願っている。