2003年12月01日

日本ガラスびん協会訪米視察報告

   
 2003年9月、日本ガラスびん協会は、会長以下理事と専務理事、計6人のメンバーで米国のガラスびん業界を視察した。
 グラフ1に示すように、米国のガラスびん需要は、1990年代大きく変動したが、1997年以降は低落傾向に歯止めがかかり、昨年には回復に兆しも見られると言われた。視察の目的は、その辺りの事情を把握し、協会の運営や会社の経営に参考になればと考えたからである。主な訪問先は、GPI(Glass Packaging Institute)と新鋭のビールびん製造工場であった。
 
もともと米国のガラスびん市場は、わが国に比べれば遥かに大きく、1990年代初めには年間出荷数は400億本を超えていた。その構成比を見ると、Food(食料・調味料)、Beer(ビール)、Beverage(飲料)の3種類で85%以上を占め、これらに集中していた。その中、Beverage分野がPETの侵入によって、急激に縮小した。1993年から1997年までの4年間に、総需要は12%低下している。(1996年から2000年まで、Beverage向け出荷数は数量が少量になったため計上されず、また1997年には、FoodとBeverageの境界線に定義変更があり、ジュース等が、FoodからBeverageへ移行した。このような事情から品種別に年別の比較ができない不便がある。しかし、なりゆきからみて前述の総需要12%減少の主因は、Beverageにあることは間違いない。) この総需要の急落は、1997年以降は歯止めがかかり、2002年までの5年間で、3.6%の微減に止まっている。このような状況は、ビールびんの引き続く増加と、ガラスびん入りの新分野、新製品の成功に負っている。その辺りの事情をGPIは次のように説明している。

 ビール業界では、激しい市場競争の中、利益を確保するために、プレミアムビール分野の拡販に力を入れた。その容器にはロングネックのガラスびんが採用され、その高級イメージが販売増に寄与した。消費者はアルミやプラスチック容器入り商品にはプレミアムプライスを支払わない。事実、ビールの容器別で、ガラスびん入りのシェアは1991年の32%から、2001年には45%にまで上昇した。新分野、新製品の成功例として、Rtd(Ready-to-Drink)の代表のSmirnoff Ice,Bacardi Silver、天然ジュース、有機食品などの分野で、Clearly Canadian, Walnut Acres(中身はsoups, salsa)などをあげている。いずれもガラスびんのイメージが、その成功に寄与していると説明している。
 GPIは、このようなガラスの魅力を、キャッチフレーズ"Good Stuff's in Glass"に表現し、ユーザーのキーパーソンや、将来を見て、包装技術やデザイン等の学校関係者に売り込むことを最優先の活動目標にしている。

 わが国でも、その中身商品と、ガラスびんの姿形、容量、ラベルなどが巧みに調和して、ヒットブランドとなり、追随品も出たいくつかの新商品の事例をあげることができる。ガラスびんにはそのような魅力を内蔵していると思われる。

 日本ガラスびん協会では、今回の訪米見聞を貴重な事例として受け取り、わが国のガラスびん復活の手掛かりを見出したいと考えている。ご指導、ご支援の程お願いする次第である。