2011年02月10日
日本ガラスびん協会研修会に参加して
日本山村硝子株式会社
木下 生一
現在私は入社2年目、ガラスびん製造現場において成形の仕事に携わっています。
日々の仕事の中で、成形=『びんづくり』という仕事の難しさ、ガラスという素材の奥深さを実感しています。日常生活において何気なく使われているガラスびんですが、そこには様々な苦労や工夫が込められていることを今の仕事を通じて知りました。
今回の研修は、1泊2日の日程で、日本ガラスびん協会会員である6社が集い、若手から中堅社員を中心に様々な部署の方々が参加されておられました。
まず初めに吉永専務理事より、日本ガラスびん協会の取り組みやガラスびん出荷量の推移などについて講義していただきました。
日本国内においては、1990年のピークを境に年々ガラスびんの出荷量の減少が続いており、近年の世界的な景気の後退により、米国や売上好調な欧州各国においても出荷状況は低迷しているとのことでした。しかし、今年の国内出荷状況の見通しによると、昨年よりは増加に転じる可能性が高いとの明るいお話も伺うことができました。
続いて、興亜硝子株式会社、真鍋様より"中国事情"についてご講義いただきました。中国のガラス容器製品の生産状況から、生活習慣、経済状況に至るまで、内容は多岐に渡りました。
ご自身の体験談も交えたお話で、日本と中国の文化性の違い、考え方の違いがよくわかり、楽しく拝聴させていただきました。
研修初日の懇親会では、ガラスびんに入ったおいしいお酒を飲み交わし、それまでの緊張も解れて和やかな時間となりました。
同業他社の方々とお話させていただく機会は今回が初めてでしたが、ガラスびんメーカーとして、共通の話題も多く盛り上がりました。営業や総務、品質保証など様々な部署の方の苦労話も聞くことができました。
その中で一番強く感じたことは、皆ガラスびんが好きだということです。
先述した吉永専務理事のお話にありましたが、今年が単なる下げ止まりに終わるのでなく、ガラスびん需要拡大の起点の年となるよう、我々がびん製品を愛し、びんの魅力を伝えていかなければならないと思います。
研修2日目には、3グループに分かれて発表を行いました。
発表テーマは自由でしたが、びんの需要を増やすためにどうしていくのか、現在の問題点、日本ガラスびん協会への提案を中心に、各グループとも似通ったテーマとなりました。
それだけ問題意識も共通していることを再認識しました。
しかし、具体的な方法としてはグループごとに独創的で様々な提案がなされました(例:分別方法の統一、回収ボックスの設置、小学校で空きびんを回収、魅力的なCMやキャラクターを使った宣伝、回収ポイント還元制等)。
自分1人では思いもつかない案を多く聞くことができ、大変参考になりました。
発表後には、技術委員会の方々からご意見・ご質問をいただき、1つの方法として検討いただくといったお言葉から、時には厳しい指摘を受けて実現性の難しさを痛感することもありました。
ガラスびんには、他容器にはない様々な利点・魅力があると思います。
例えば、リサイクル性、リターナブル可能であるといった点においては、エコ意識の高まっているこれからの社会において、大きな優位性となることは間違いありません。
また、ガラスという素材の性質上、様々な形状に成形可能であり、加工技術も多様な選択肢があります。意匠性にこだわり高級感を演出するのか、軽量化を進めて利便性を追求するのか、容器という分野において、ガラスびんの持つ可能性はまだまだ広げていくことが可能だと思います。
今回の研修では、ガラスびんについてじっくりと考え、話し合うことができ、大変有意義な時間を経験させていただきました。今後ガラスびん業界がさらなる発展を遂げますよう、研修に集結した6社を中心として、協力、切磋琢磨し合っていければよいと思います。
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