2008年09月01日

海外情報(2008年9月分)

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Saint-Gobain社 Glass Container部門

1)フランス : Lagnieu工場に公害防止投資
当工場は、食品産業向けの広口びんに特化されている。公害防止を重視し、既にISO 9001,ISO 14001,ISO 22000を取得している。今回、更に20百万ユーロを投資し、その面の設備を更に充実する。この工場は2007年14億本を生産し、従業員315人である。
(Feve news Jun.'08- www.glassglobal.com 9Jun.'08)
2)チリ : 子会社 Saint-Gobain Envasesは市場シェア25%を目指す
売上高は2007年、25%延びた。2008年は190億ペソ(約380億円)を目指す。
主要製品はワインびんで、出荷先は国内外(アルゼンチン他)である。
(Feve news Jun.'08-www.glassonline.com-20Jun.'08)
3)スペイン : 子会社 Saint-Gobain Vicasa 新工場建設
スペイン南部のJerez de la Fronteraに新工場を建設するため、90百万ユーロ(約150億円)を投資する。工場敷地はTransport Cityに隣接の93千平方メートルで、年産7万トン(当社の現在能力13万トン)が見込まれている。
(Feve news Jun.'08-www.glassonline.com-12Jun.'08)
4)なおガラスびん部門の切り離しの考え変えず
Les EchoのwebsiteやAFPの報道によると、当社は40億ユーロ(約6,700億円)での売却の意向は変えていない。(この売却意向は既に2007年初に公にされた)
the Financial dailyによれば、Ardaph Glass・Vitro・Vidralaが取得に興味を持っている。Saint-Gobain社は、移行方法に3つのシナリオを考えている。投資会社への売却・株式市場での公開。3番目は可能性の高い方法で、Saint-Gobain社が25%を留保する方法である。
ガラスびん部門の売上は、2007年35億ユーロ(約5,800億円)を計上したが、当社ではもはや戦略的コアビジネスと考えられていない。建設産業(the construction industry)への集中が会社の戦略である。
(Feve news Jun.'08-www.emballagesmagazine.com-12Jun.'08)


スペイン Vidrala社

当社は、1965年以来製びん業に入ったが、現在、拡大に集中している。当社は、the Delclaux familyによって支配されている西欧南部における最大の独立の製びんグループで、この地域でのシェアは27%である。工場数は、スペイン3・ポルトガル2・イタリア、ベルギー各1である。
2007年の業績は、売上高353.5百万ユーロ(約550億円)前年比15%増、純利益38.5百万ユーロ(約60億円)前年比31.7%増であった。
2008年も経済のスローダウンにかかわらず、売上・利益共に成長を見込んでいる。2008~2011年に120 百万ユーロ(約190億円)の投資計画で、生産能力・効率・利益の向上を目指す。2008年現在の年生産能力は1,125千トンであるが、その近くまでの達成が見込まれている。
(Feve news Jun.'08-www.glassonline.com-26Jun.'08)
(Feve news Jun.'08- www.glassglobal.com 5Jun.'08)


トルコ Sesecam社

Feve newsには毎号、Sesecam社グループのロシアでの工場建設など投資情報が載り、全貌把握が難しい。幸いに、同社ホームページにAnnual Report2007が掲載され、事業部門別に現況と今後の方針が述べられているので、そのGlass Packaiging部門から関心事を以下に集約した。(同社websiteより。Annual Report 2007は110ページに上る)同社の事業部門は、Flat glass・Glass ware・ Chemicals(ソーダ灰等)と、Glass packagingに大別されている。Glass packagingを分担する子会社はAnadol Camで、ロシアではRuscamの名で活動している。
■ 地域別(国内)
現有能力は、トルコ国内3工場750千トン・ロシア4工場960千トン・グルジア1工場50千トン(ロシアとの危機にあるが)、併せて1,800千トンで、世界の製びんトップ5の中にあると考えている。(トップ5の他はO-I・Saint-Gobain・Ardagh・Vitroか?)
国内市場における強固な地位が、発展の基盤になっている。3工場それぞれで合理化・能力拡大の投資が継続している。2007年の出荷実績は650千トンであった。国内には2006年に業務を開始したDesign Centerがあり、国内外市場のために497件のデザインを行い、その中120件が既に生産された。デザインコンテストで2件受賞している。
■ ロシア
ロシア市場は、最も成長が期待される魅力ある市場と考えている。既に3億ドル(約330億円)を投資し、その技術力と製造能力でリーダー的存在となっている。
第1工場Gorohovets(3窯)と第2工場Pokrovsky(2窯)は完成している。第3工場Ufaでは3号窯が2007年中ごろ稼動を開始した。第4工場OAO Kirishsky Stekolny Zavodは2008年3月に買収した。新たにthe Krasnodar regionで新工場1号窯が2008年中頃スタートする。この工場は2窯の計画である。更にSiberia region Novosibirskで2窯の工場建設計画を進めている。これらの2008年計画の投資・買収の完成の結果は、100万トン/年を超える能力を持つことになろう。それらは、ロシア市場に於いて急速に成長し高品質のガラスびんを求めているビール・スピリッツ・ミネラルウォーター等の需要を充たすことになろう。
■ その他
グルジアは最初の国外進出の地であり、Mina工場は2窯稼動している。2007年はロシアとの間の政治危機にあったが、47千トンの出荷があった。
また、東欧・バルカン地域等も、目標に入れている。UkraineのOdessa cityで新工場建設の計画を検討している。
会社は、国内及び近隣の事業を実施している地域における環境対策・従業員の人的能力向上対策などにも十分に配慮し、事業の拡大を目指している。


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ワインの製造業者やワインびん商は、びんの不足に頭を悩ましている。このような事態は、ワイン売上の増加と、製びん業者(O-IやSaint Gobain社の数工場)における合理化のための休止やストライキによって起こった。ワイン製造業者側では、利益を良くするために不足を仕組んでいるとの疑惑を持っているが、それは晴らされていない。EU委員会による調査は終わっていない。
特に、透明びん・軽量びん・標準びんが入手難である。一方、びん価格は2007年から2008年にかけて15~35%上昇した。不平は、デリバリーが保障されないこと、十分な説明がされないことにある。
AGEV(ワイン製造企業の組合)は、ガラスびん製造能力と、何が起こっているかを知るためにEU27国・トルコ・北アフリカの状況を調査する準備をしている。
(Feve news Jun.'08-www.emballagesmagazine.com-4Jun.'08)
(Feve news Jun.'08-www.packagingeurope.com- 6Jun.'08)


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米国ガラスびん業界・月別出荷本数
単位:百万本、%
  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
2007年 2,824 2,648 3,026 2,992 3,227 3,185 3,088 20,990
2008年 2,864 2,726 2,893 2,988 3,157 3,033 3,153 20,814
08/07 101.4 102.9 95.6 99.9 97.8 95.2 102.1 99.2
(出所:米国統計局)

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FEVEより加盟国の2007年の生産統計が発表された。前年比4%増と、従来のやや停滞気味の傾向を打破する異例に高い伸びを示し、トータル22百万トンを超えた。一人当たり需要(消費)量も06年の35kgから36kgへ増加した。
FEVE President Dominique Tombeur氏は、「これらの数字は、業界に対して新設備・プロセス・製品の開発努力の継続を促すシグナルである」と述べている。
統計発表も特に前文を付して、このような高い伸びは欧州に於いてガラスびんが他素材に比し、地球の持続可能な観点から優れた素材であると考えられている証拠であることを強調している。


FEVE( The European Container Glass Federation)加盟国生産状況 (2007年)
1997 2005 2006 06/05 2007 07/06 07/97
単位 千トン 千トン 千トン ±% 千トン ±% ±%
ドイツ 4,294 3,895 3,886 -0.2 4,080 +5.0 -5.0
フランス 3,642 3,784 3,828 +1.2 3,722 -2.8 +2.2
イタリア 2,929 3,543 3,549 +0.2 3,621 +2.0 +23.6
イギリス 1,970 2,081 2,160 +3.8 2,244 +3.9 +14.0
スペイン 1,684 2,144 2,148 +0.2 2,222 +3.5 +32.0
ポルトガル 751 1,025 1,096 +7.0 1,231 +12.4 +63.9
ポ-ランド 87 1,088 1,119 +2.8 1,230 +9.9 +40.8
トルコ 450 535 597 +4.1 705 +18.1 +56.7
その他(1)   3,251 2,006   2,131 +6.2  
その他(2)   1,149   1,212 +5.5  
合計 21,346 21,538 +0.9 22,398 +4.0  
参考:日本
(出荷量)
1,913 1,333 1,312 -1.6 1,274 -2.9 -33.4
注)
1.2006年データ:前回発表の数字を一部補正。2007年9月既報分では「その他」の国には区分が
          なかったが、今回発表されたデータでは(1)(2)に補正された。
2.2007年データ:一部暫定を含む。
3.「その他(1)」 北中欧国:オーストリア・ベルギー・デンマーク・エストニア・
                フィンランド・スウェーデン・スイス・オランダ
4.「その他(2)」 南東欧国:ブルガリア・チェコ・ギリシャ・ハンガリー・ルーマニア・
                スロバキア
 ※ 07年10月30日FEVE委員会によって機密保持のため、集約公表が決定された。
 (製びん会社数が1、もしくは極めて少数)
 ※ 05年は、(1)(2)の区分が無かった。
5.1997年データは、FEVEのカバー範囲が異なるためトータル等表示できず。