2004年12月01日

海外のガラスびん事情

 
?.GPI(米国ガラスびん協会)の新パンフレットより
 
パンフレット表紙写真  
■前文
ガラスびんは、チャンピオンブランドを創る。
商品が氾濫している市場の中で、現在の個性的な消費者にうけるブランド商品を如何にして創り出すか。ここに紹介する5つのケーススタディは、新しいマーケティングの範例を示している。
"Clear Choice Award"(*1) の受賞作品は、その容器が優れているのみでなく、中身商品の売上促進の面からも成功したブランド商品である。1989年の創設以来、この賞の受賞者は、ガラスびんを革新的な方法で採用することにより、パッケージデザインのフロンティアを開拓し拡大した。
 
1.Welch社、炭酸入りグレープジュースの祝祭日用デザインのびん
 
Welch社は、この市場で既に強い販売地盤を持つが、祝祭日や休暇シーズン用などの特別のデザインをした容器包装を採用することで成功している。このようなアイデアが小売業者へのアプローチを容易にすると考えられるからである。 Welch社、炭酸入りグレープジュースの祝祭日用デザインのびん写真
 
 
2.Riggs & Forsythe 社、洗練されたニーズに応える容器
 
  当社の創立者 Page氏は洗練された味を持つソフトドリンクの発売を切望した。彼は大人の味覚をもつ人をターゲットにしたフレーバーとクラッシックな容器デザインを創り出すことに専心した。透明でフルート模様の外観は、中身のエレガンスな味、天然フレーバー、低糖度とマッチし、大人の消費者に受けた。会社の5年間の歴史の中で年々2桁の売上増を達成した。
 
3.POM WONDERFUL、100% ざくろジュース
 
  このユニークで目立つびんは、"POM WONDERFUL"ブランドを差別化することに大きく貢献している。流通は売り場で人の目を引き、よく売れるこの商品を歓迎している。この商品は、ロスアンジェルス市場・super premium juice部門で、2002年秋発売後すぐに売上No1を達成した。
 
4.Dean Foods Company のMarie・ドレッシング
 
  この商品もチルド売り場で目立ち、良い売上成績を上げている。11.5オンスの細口と、12、24オンスの広口(スプーンが入る)があり、両方とも手にぴったりの形状をしている。シュリンクラベルは、中身のフレバードレッシングを見せると共に、それが使用された食品の絵も見せて食欲をひいている。
 
 

Labatt USA Brewing Company は、新たに低炭酸・低カロリービールを発売するために事前に消費者調査をし、その中から訴求点は第1に味、第2に低炭酸に措くべきとの結果を得た。また、容器包装の面では、"motion/action"(動的/活発)をイメージに、斬新でユニークであるべきとの意向が示された。これらを参考に商品化された"ROCK GREEN LIGHT BEER"は、2003年9月に発売され、今もspecialty beer部門のTop10に入っている。

[本セクションは、雑誌'PACKAGING DESIGN' May/Jun 2004の記事より補完した。]

(*1) Clear Choice Awardについて
GPIが、各年に発売されたガラスびん入り新製品から、優秀製品を選定し表彰する賞。
選定はエントリー製品の中から、包装デザインの専門家、報道関係者などに委嘱して行われる。
審査には、中身商品の個性をアピールするため、ガラスびんの特質を巧みに利用したかなどが重視される。賞には、"Package Design賞""Success Story賞"と、中身商品別の部門賞がある。
 
?.今まで、<海外情報>に出て来なかった国の情報
 
1.ロシアのガラスびん市場
 
他の東欧諸国と同様に、ロシアはすべての分野で、ガラスびん生産に高い成長をみせている。特に若い世代が伝統的なウオッカから離れ、ビールに向かう傾向があるので、ビール消費市場が年率6%の伸びが見込まれている。この地域の主要な投資者によれば、過去にガラスびんは、高価な輸入びんか、質の劣るリターナブルびんに頼っていた。その状況を改善するため、ここ数年の間にガラスびん製造設備分野にかなりの額の投資があった。
(Feve news June, Glass International(英) May/June'04より)
 
2.Sisecam (トルコ拠点の会社)ロシア市場No.1を目指す
 
Sisecamは、今後5年をかけてロシア市場のNo.1生産者となることを目指している。同社は最近Ruscam工場で、軽量ビールびんを製造するNNPBを導入した3号窯を始動した。ロシアでNNPB技術を有する唯一の工場で、ビールのみに止まらず食品、飲料びん市場への進出も図っている。2004年末までに、年34万トンの能力を持つこととなろう。
(同社は、板ガラス、ガラス繊維、ガラス食器部門等を持つ総合ガラス会社である。)
 
3.インド、HIS社の投資
 
HIS ( Hindustan Sanitaryware & Industries )は、Hyderabad工場の追加投資を開始した。この結果、現在の能力390トン/日が、本年末に750トンに、2005年3月に900トンに達する。この工場は、Andhra Pradesh州にある唯一の製びん工場で、Coca-Cola, Pepsi Colaに対する大サプライヤーである。