2010年10月28日
広報委員会 研修会(3) 「(株)吉川商店」
続いて、洗びん事業をされている、(株)吉川商店様を訪問。代表取締役 吉川康彦様に洗びん工場内をご案内いただきました。
吉川商店様では、一升びんをはじめとしたリユースびんを回収し、工場で洗びんを行った後に酒造メーカーをはじめとするお得意先様へ納入をされています。
環境にやさしいリユースびんを広めていくためにさまざまな取り組みを行っておられる吉川社長にお話を伺いました。
■欧米と比べた日本のガラスびん事情
一年間に消費されるガラスびん(1人当たり・重量)は、日本と比べ、ドイツでは4倍ほど使用されている。ガラスびんが多く使われている国では、ガラスびんのリユース比率も高い傾向にある。したがって、びんの消費量が多い国では、必然的に環境に配慮された容器選択がなされているということがいえる。
■ 洗びんの現状
→ISOやPL法の成立をきっかけに、容器に求められる品質面では非常に厳しくなってきている。洗びん時の不良率も、以前は2~3%程度だったものが、現在では8~10%と高い数値となっているのが現状。特に外観上の欠点(擦り傷の幅・汚れなど)の基準が厳しくなっている。
お客様の要求品質を満たせるよう、継続的な努力を行っているが、擦り傷など問題なく使用できるものまで廃棄することは、環境面ではもったいない。ご利用いただけるように、働きかけを続けていかなくてはいけない。
■ リサイクルの現状
びんtoびんのリサイクルは、85.4%程度(平成20年実績)と見られる。ただ、カレットをびんの原料以外に使用した場合のリサイクル率は不明。
また、一升びんの国内での消費は、全体で年2.3億本と推計。そのうち、毎年新びんの市場投入は約6千万本とされるため、4回ほどリユースされている計算。4回リユースされた場合、CO2や排水など、LCAの観点で、他容器と比べても、環境面のメリットが大きくなる。
■ 容器包装リサイクル法の改正について
これまで、改正を重ねる中で、リサイクルについては、議論がなされてきた当法律であるが、次回改正において、リユースに取り組む糸口が見つかるか、期待。リユースはガラスびんならではの大きな特徴であり、環境への意識が高くリユースが盛んな国では、当然ガラスびんが主流となっている。
■京都市との取り組みについて
CO2の排出削減に積極的。
スーパーにリユースびん回収ボックスを設置、京都硝子壜問屋協同組合にて回収を担当。京都市内で回収・洗びんから充填までのサイクルが完結するため、CO2の排出抑制では効果が大きい。現在、スーパーだけではなく、市役所・区役所および公民館など93箇所(2010年10月現在)で回収ボックスを設置。
また、酒造メーカー各社のリユースびんを使用している商品を、京都市がパネルやポスター掲出することで、一般市民に対してのアピールも行っていた。
また、リサイクルの場合と異なり、リユースには自治体が介入せず税金が使用されないことも、市民にとっては大きなメリットとなっている。
■ これからの容器のリユースについて
これまで事業者任せであったリユースシステムだが、自治体やNPOなどの協力が盛んになってきている。
たとえば京都市の場合でも、ごみ減量推進会議という数万人規模のNPOがサポートをしてくれており、その中のリユースびんチームがいろいろな取り組みを行っている。
また、国や市も、リユースに対する姿勢が変わってきたと感じる。
リユースびんに入った商品の販売面でのバックアップや、リユースびんに関する勉強会に関係省庁が参加されているということも始まってきている。より広く、リユースが生活の中に定着するよう、期待したい。
一升びんや、ビールびん、牛乳びんのように、洗って再利用できるのは、ガラスびんの大きな特徴かつ、メリットです。
また、CO2の排出抑制などにも大きな効果を発揮することも間違いありません。
リユースびんを増やすためにも、日本ガラスびん協会としても努力をしていきたいと考えています。